AIMの怪獣の花唄が良すぎる

 先日2月18日、歌衣メイカアステルレダ、奏手イヅルの三名による、Vaundyの怪獣の花唄のカバー動画が投稿された。それがあまりにも良すぎる、というのでついに私も初めてこのようにブログの筆を執ることになった。該当動画はこちらである。

youtu.be

 

 

序論

 初めに、AIMについて。AIMというのは、歌衣メイカアステルレダ、奏手イヅルの三名のチーム名のようなものだ。三人は、2020年の夏ごろから一緒にAPEXをすることで仲良くなっていき、2021年の3月には、三人で固定のパーティーを組んでマスターランク到達を目指すチャレンジもした。マスターランクチャレンジでは、三人共がマスター未経験の中、数多くのチーターに揉まれながら毎日朝から長い時間プレイし、互いにぶつかりながらも絆を強めて目標を達成する様子が非常に印象的だった。ちなみに、三人で一番最初にアステルくんがマスター昇格目前だったタイミングが、たまたま私が友人と旅行に行っていた日の夜~朝だったため、疲れているのに寝られなくてたびたび気絶しながらホテルでスマホ開いていたことが思い出深い。それ以降にも、たびたびAPEXで突発コラボをしたり、AIMで大会に出場したりと、交流があり、APEX以外でもコラボしたいというのは話には出ていたが中々実現していないという実情だった。今回のコラボでのカバー動画というのはまさに待望のものだったのである。

 

 今回、カバーされたのはVaundyの怪獣の花唄である。この曲は、メイカくんが夏のTUBEOUTで披露しており、私がこの曲を知ったのもこのタイミングである。Vtuberが出すカバー動画といえば、たいていはボカロ曲や、流行りのPOPSなどが多い中で、邦ロックでいこう、というのは個人的にはすごく嬉しいことであった。特にメイカくんは、歌枠はともかく、カバー動画で邦ロックを出すイメージがなかったため目新しさも感じた。ホロスターズでは、KEYTALKのMONSTER DANCEや、Bump of chickenの虹を待つ人など、あまりこの界隈では見ない邦ロックをカバーしていることが多く、アスイヅ(アステルとイヅル)の二人ではどちらかというとド真ん中の選曲といってもいい。ともかく、三人に相当ぴったりの選曲でありながらも、そこをチョイスするのは良すぎる、と感じざるを得ないタイトルである。

 

 さて、ついに怪獣の花唄の感想についてざっくりと話していきたいと思う。仔細については後述するのでここではざっくりと述べたいと思う。今回特筆したいことは主に二つである。まずは本来、原曲では一人で歌っている楽曲を三人で歌っているといる点である。このことがかなり曲の印象に変化を与えている。例えば、原曲では歌詞に置ける「君」というのが過去の誰かを指し、そして「まだ消えない」というのが寂寥や未練を感じさせるフレーズとなっていて、明るいメロディーと裏腹に切なさもあるという魅力があるのだが、AIMのカバーでは、三人で歌うことで「君」が互いを指す言葉になり、「まだ消えない」が今もここにある、というより明るいフレーズとして解釈できるようになっており、より眩しい雰囲気を持つ歌になっている。次に、キーがー3であることも特徴である。VaundyもいわゆるOfficial髭男dismやKing Gnuなどの高音を得意とする近年のアーティストの例にもれず音域の高いバンドである。それゆえ、単にキーを下げることで歌いやすくするという側面もあると思うのだが、-3することでAIMの三人が最高音までをファルセットを使わずに出せる音域に収めているのが素晴らしい。サビの最高音が本家と異なりミックスボイス(といっていいだろう)で出し切られていることで、力強さに曲の感じが振られており、この三人ならではのカバーになっていると感じる。この怪獣の花唄は、間違いなくこの三人の怪獣の花唄としての個性を持った作品になっているのである。まだ聞いていない人類はぜひとも聞くべきである。

 

 ここまで長々と語ってきたが、畢竟AIMの怪獣の花唄はいいぞ、という話である。あと鬼灯わらべは天才だ。(動画ありがとうございます)

 そしてここから以降は、本当に備忘録の意味もありこれまで以上に長々と語ろうと思う。

 

怪獣の花唄の歌について語る

ここからは歌詞についてもより深く解釈していくので、歌詞を引用しながら話していこうと思う。

思い出すのは君の歌 会話よりも鮮明だ
何処に行ってしまったの いつも探すんだよ
思い出すのは君の歌 歌い笑う顔が鮮明だ
君に似合うんだよ ずっと見ていたいよ

 

でも最後に見たいのは きっともう君の夢の中
もう一度また聞かせてくれよ 聞きたいんだ

 まずはAメロ、Bメロである。ここはメイカアステル→イヅルの順番で歌詞が振られている。これは三人の次第に仲良くなってきた過程を思い起こさせる。メイカくんがコメント欄に表れたことをきっかけに初めてアステルくんと突発コラボしたところから始まり、それ以降仲良くなっていった。その後、アスイヅのAPEXに混ざる形で3人で突発コラボをしたのがAIM三人のコラボの始まりである。

  また、アステルくんの「歌い笑う顔が鮮明だ」という歌詞は、ゲラで特徴的な笑い声を持つメイカくんを指すようでアステル→メイカへの語り掛けとしてぴったりの歌詞だな、と感じる。続きのイヅルの「きっとも君の夢の中」というフレーズは、夢の国や、その世界観に影響を受けたアステルくんを指して、イヅル→アステルとなっているとも解釈できる。ちなみにここのBメロでは、この楽曲で最高音であるhiBが登場しているが、ここは1番で唯一ファルセットで歌われている部分であり、大変良い。

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【APEX】R-99 を使い納めます。 今までありがとう。【ホロスターズ/アステル】 - YouTube

 

もっと 騒げ怪獣の歌 まだ消えない 夢の歌唱えて
君がいつも 歌う怪獣の歌 まだ消えない 口ずさんでしまうよ

 サビである。ここはメイカ→イヅルと歌詞が振られている。Aメロの頭でもそうだったが、サビの最初もメイカくんが担当しており、ここの歌詞振りはこの人しかいない、としか言いようがない。最高音のhiBまでミックスボイスであの迫力で伸び伸びと出し切っているのは歌がうますぎる。三人の立ち位置を考えても、しょっぱなのこのポジションはメイカくんにしかできないし、一気に惹きこまれるな、と感じる。

 続いてのサビの2週目ではイヅルが歌唱している。ここでは、Bメロと異なり、彼の個性的なラスピーボイスでの張り上げで最高音が出されており、こっちも歌がうますぎる。(正直、イヅルは普段の歌枠ではクオリティの保証のためにhiB周辺は使いたがらないが、ジャガーノートのカバーではhiBの三音上のhiDまで出していることもあり、化物である)

 ここでこの二人がサビを歌うのは、3人の中ではどちらかというとロックに強いような印象を受ける二人という人選で非常にドンピシャである。二人の自由な歌声が、それぞれ異なりながらも、サビの統一感につながっているように思う。また、続いてのパートはアステルくんのパートなので、そこを考えてもうまくあてはまっていると感じる。

 

思い出すのは君がいた ギター持ってる君がいた
忘れられないんだよ だから僕が歌うよ

でも最後に見たいのは きっともう君の夢の中
もう一度また聞かせてくれよ 聞きたいんだ もっと

 ここから2番である。2番のAメロはアステルくん、Bメロはメイカくんが歌っている。ここには「ギター持ってる君がいた」という歌詞がある。同じホロスターズとして長らくコンビでやってきたアステルくんがイヅル宛の歌詞が振られるのは自明である。

 そしてBメロのメイカくん。ここは1番と同じ歌詞なのだが、歌い手が変わっているため、メイカアステルになっているのかな、と感じる。1番同様、メイカくんもファルセットを利用している。しかし、1番とは異なり、「見たいのは」「夢の中」などのフレーズの尻の部分にそれぞれファルセットを使っている。このBメロの抜け感ははちゃめちゃに好きである。あと語尾の感じもメロディーにあってて好きである。また、ここでは、「もっと」までがメイカくんのパートになっており、このパートがBメロの属性を持っているのが意外に感じた。1番ではサビに属していたパートが2番ではサビにつなぐダメ押しになっている気もして、印象深い。また、ここまでで、AメロとBメロの歌詞の担当順がメイカアステル→イヅル→アステル→メイカと戻ってくるのも収まりがよくて天才である。

 

騒げ怪獣の歌 まだ消えない 夢の歌唱えて
君がいつも 歌う怪獣の歌 まだ消えない 口ずさんでしまうよ

 2番のサビである。ここはイヅルから始まる。ここは前後関係ふまえてもイヅルのパートは妥当である。そして、サビ2週目はアステルくんの担当になっている。アステルくんの浮遊感のある歌声は、複数人で歌っているときに、曲の世界観をがらりと変えるので、Cメロに以降するこのパートに入れるのは綺麗だなと感じる。実際、他二人と異なり、アステルくんのサビでは「歌」の部分がファルセットで表現されている。

 

落ちてく過去は鮮明で
見せたい未来は繊細で
過ぎてく日々には鈍感な君へ

 Cメロでは、三人のユニゾンである。ここまで複数人で歌うパートがなかったところからのユニゾンである。しかし、複数人で歌っているにも関わらず、それぞれの歌声を互いに寄せず、それぞれの表現で歌っていることにより、同じメロディーでも声の重なりあいが豊かに聞こえる。たいていの場合、ユニゾンでの美しさのために、複数人で歌うときには声を寄せ合って溶かすような表現が多いが、それをしないのはAIMの三人に脱帽である。また、このCメロは2週あり、ラストのサビへの期待が高まるパートでもある。

 

ねえもっと 騒げ怪獣の歌 まだ消えない 夢の歌唱えて
君がいつも 歌う怪獣の歌 まだ消えない 口ずさんでしまうよ

 最後のサビである。ここは「ねえもっと」のみがメイカくんのパート、それ以降は(おそらく)三人で歌っている。実際イヅルがハモリを盛っているからメロが何人担当か貧相な私の耳ではわからないのが悔やまれる。初めて聞いた時はここで衝撃が強すぎてここ以降記憶を失った。ここでは(多分)アステルくんが2番サビと異なりhiBをミックスボイスで出し切っており、サビの盛り上がりに貢献していると感じる。

 

ねえ僕ら
眠れない夜に手をのばして
眠らない夜をまた伸ばして
眠くないまだね そんな日々でいたいのにな
懲りずに
眠れない夜に手をのばして
眠らない夜をまた伸ばして
眠くないまだね そんな夜に歌う 怪獣の歌

 ここからDメロになる。個人的には、サビが終わるとき、「ああ、サビが終わっちゃうんだな」と感じる瞬間が寂しいため、サビのあとに追加でメロディーが不随する楽曲は大好きである。ここでは、Dメロの一週目は「眠れない夜に」「眠らない夜を」「眠くないまだね」のフレーズに関してはユニゾンで歌い、それぞれの後のメロディーはメイカ→イヅル→アステルの順番で歌っている。ここでは、原曲において「手をのばして」「また伸ばして」「そんな日々で」のメロディーは共通なのだが、真ん中を歌うイヅルが「また伸ばして」をアレンジしたメロディーで歌っているために、フレーズに変化がついていて非常に良い。アステルくんのパートも、「そんな日々でいたいのにな」と、共通フレーズから接続フレーズに移行するメロディーであるので、様々な音色を使えるアステルくんにここの高音パートを任せるのはど真ん中である。ちなみに、ここも最高音hiBである。三人のソロパートは変化に富んでいて、それぞれの個性をより増強していると感じる。

 続いて2週目のDメロだが、ここは「手をのばして」「また伸ばして」「そんな夜に」のパートがメイカアステル→イヅルの順番でメロディーも共通である。しかし、ここでは「眠れない夜に」「眠らない夜を」「眠くないまだね」は1週目と異なる。イヅルがハモリを追加しており、ワンフレーズごとにより近い響きのハモリになっていき、「眠くないまだね」は他二人のメインメロディーに合流する形になっている。イヅルのソロパートの「そんな夜に歌う」へのつながりも完璧である。こういった構成にすることで、Dメロの1週目と2週目が全然違うものになる。AIMは天才の歌い手しかいないのか。

 

 なんだかんだ、AIMは三人の歌唱の技量がそもそも高いため、どこのパート、どこのポジションでも誰かが見劣りすることがないのだが、その上で今回はそれぞれが各々のポジションというのを意識した歌詞割と表現になっているように感じた。全体で見ても、本当に完成度が高い。非常に心に残るカバー動画となった。

追記:100万再生を経て

このブログを書いたのは一年以上前で、結局表に出さずにずっと下書きにしまってあった。このカバー動画が100万再生を達成したと聞き、やはりその音楽に胸を打たれて、そしてやっとこの文章についてふと思い出したのである。これを読んでまた新しくこの動画に足を運びたいという人が生まれるかもしれないと思うと、これを機に公開してみようかという気分にもなるものである。逆にこれを読んで長々と無粋だぞ、と感じる人もいるかもしれないが…。

最後まで読んで下さってありがとうございます。AIMフォーエバー。